駅弁食中毒事件
9月に駅弁を食べて集団食中毒になった事件を覚えていますでしょうか?
「吉田屋」が製造している駅弁のご飯が原因で食中毒がひろまった事件です。
保健所などの推定した原因は以下で、委託製造していたご飯を冷却が適切にできていない、搬入時の外箱や手指消毒などの殺菌処理が適切にされていなかった、連絡が行き届かず防げなかった といったものです。
「推定される主な原因」として挙げられたのは、次の5項目です。
- 委託製造した米飯について、検収手順及び受入れ基準を定めていなかったことから、注文時の指示書より高い温度の米飯を受け入れ、米飯冷却までに原因菌が増殖した可能性がある。
- 委託製造した米飯が配送された外箱(発泡スチロール製)について、殺菌等の措置をせずに、盛り付け室に搬入したことから、米飯、具材等に原因菌が付着した可能性がある。
- 自社炊飯分の米飯冷却に加え、予定にない、委託製造した米飯の移し替えや冷却が同時に行われたが、その製造記録が残されておらず、手指の消毒、手袋交換等のタイミングや方法が適切に行われず、原因菌が付着した可能性がある。
- 臨時従業員に対して衛生教育や体調・手指の傷等健康状態の確認を行ったが、これらの記録が残されておらず、通常当該施設で実施される衛生的な取扱いや健康管理が徹底されず、原因菌が付着した可能性がある。
- 回収について、当該営業者からの連絡が一部の販売店まで届かず、16日製造分の一部が販売され、食中毒患者が確認された。回収に関する連絡が確実に販売店まで届くよう、予め定めていなかった。
※プレスリリースのPDFが画像だったので大変だった。。。
駅弁は常温、コンビニ弁当は冷蔵
ふと駅弁は常温で売られていると気づきます。
なぜ常温なのか、調べてみたところ決定的な記述は見つけれませんでした。
冷蔵・冷凍の設備、その設置にかかる費用などを上乗せすると、単価が高くなって売れないから、といったのは見つけましたが、そもそも単価が高いのは常温保存のため廃棄率が高いためと思います、、、鶏が先か卵がさきか。
ご飯は冷蔵すると美味しくなくなる という記述もありました。レンジで加熱すると米粒が割れてしまうそう。
私が思うに
- 駅弁は列車内で食べるため、冷蔵・冷凍されていてはすぐ食べられない。だから常温
- ホームなどの狭い場所に冷蔵・冷凍設備を入れ込むのは大変。
というのが理由なのかなと思っています。
一方コンビニは冷蔵。
これはやはりスケールアップによる製造コストを下げたり、食事時の体験を良くするためのようです。
- 常温では保存用の添加物が必要、かつ消費期限を伸ばすために塩分、砂糖が多めに仕様されてしまう
- 冷蔵にすれば長持ちするため、配送回数が少なくてすむ(常温弁当は持たないので一日に何回か配送)
- 冷蔵は長持ち→より遠方まで配送できる→一気に集約して製造可能
法令ではどうか
弁当の保存温度の基準は法令上は定められていないそうだが、衛生規範の指針ではいわゆる常温保存?のようです。
弁当等の細菌に関する規格や保存温度に関する基準は、法令上定められていないが、弁当等の衛生的な取扱い等の指針として、国は「弁当及びそうざいの衛生規範」(昭和54年6月29日付環食第161号厚生省環境衛生局食品衛生課長通知。以下「衛生規範」という。)を定めている。衛生規範は、弁当等の微生物制御を中心に、製造から販売までの各過程全般における取扱い等の指針であり、施設・設備の管理から食品等の取扱い、弁当等の細菌に係る指針等を規定している。なお、衛生規範を遵守する限り、一般に盛り付け後喫食までの時間が7時間以内の場合では食中毒発生の可能性が少なく、4時間以内の場合ではその可能性がほとんどないと考えられている。
【衛生規範で示された指針の内容(抜粋)】
1 細菌に係る指針
(1) 加熱処理したもの(卵焼、フライ等)
細菌数(生菌数):100,000以下/g
(2) 未加熱処理のもの(サラダ、生野菜等)
細菌数(生菌数):1,000,000以下/g
2 保管に関する指針
(1) 弁当、そうざいは直射日光及び高温多湿を避けて保存すること。
(2) そうざいは10℃以下又は65℃以上(ただし、揚げ物を除く。)で保存することが望ましい。
3 運搬に関する指針 運搬時においては、製品の容器包装の破損等に起因する汚染を防止するため、適切に製品を取扱うこと。
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/jourei/2013/files/4bukai/siryou4.pdf
まとめ
普段から手にするコンビニ弁当や露天の弁当にも様々な基準のもとに作られていることがわかりました。
特に今回の吉田屋の事件は製造側が指示をおろそかにしたのかどうかありますが、受け入れ条件を確認するのは大事だなと思いました。どうしても人が作る以上、エラーは出るので受け入れる側でも防ぐ手段が必要ですね。
ソフト開発や製造現場でもおなじです。